ケープコッド編 #11 満月の夜の出来事
深夜の森の中
月明かりだけを頼りに歩いていく人影があった。
満月のため、森の中でも薄っすらと明るく歩く分には不自由はないようだ。
その人影が森を抜けると大きな湖が現れた。
湖の畔に立ち止ると、辺りをキョロキョロと伺っている。何かを探しているようだ。
人影「どうやら来るのが早すぎたな。まあ、いいさ。こんなこともあろうかと酒と食い物は沢山もってきてるんだからな、俺ってば気が利くからねぇ~。一人宴会しながら待つか!」
大きなザックの中から大量の酒と食べ物を取り出すと森の中で一人宴会を始めてしまった。
1時間後・・・辺りには空になった酒瓶が沢山転がっていた。
人影「湖面に満月が映りこんで綺麗なもんだね~♪ こんなにもロマンチックな夜なのに待っている相手が野郎ってのがな~~」
その時、森の方から声が聞こえてきた。
森からの声「野郎で悪かったな。それにロマンチックな夜を台無しにてしまって」
人影は湖に映る満月を見たまま振り向きもせずに答える。
人影「いいさ!気にするなよ。俺とお前の仲じゃあないか」
森からの声「いったいどんな仲なんだ?スカーフェイス」
スカーフェイス「それは勿論!相思相愛&魂の片割れ&一蓮托生ってね~♪そうだろ?ランケスター」
森から姿を現しスカーフェイスの方へ歩み寄っていくランケスター
ランケスター「そんな冗談を言っているとそのうち誤解されるぞ」
スカーフェイス「はいはい、気を付けるよ。ほら、お前も飲めよ。愛しいお前のために沢山持ってきたんだからさ!」
空になった酒瓶に一瞥してからスカーフェイスの方を見るランケスター
ランケスター「それは・・・嬉しいんだが、どうやらお前の俺への愛情は既に空になってるようだな」
スカーフェイス「あれ?いつの間に空になったんだ?誰が飲んだんだよ!?」
ランケスター「お ま え だ」
スカーフェイス「あはは、悪い悪い、ほら俺のをやるよ」
スカーフェイスが半分空になった酒瓶をランケースターに投げて渡す。
ランケスター「・・・フフ」
一口飲むランケスター
ランケスター「良い酒だな。お前にしては趣味が良い」
スカーフェイス「そうだろ?だから言ったじゃないか。お前への愛がこもってるってさぁ~。さてと・・・酒も回ったことだし、そろそろ本題に入ってもいいぜ。なんでもかかってきな!」
もう一口酒を飲んでから大きく息を吐くランケスター
ランケスター「ふう・・・ああ、本題に入ろうか」
湖の前に座り込むスカーフェイス。
その傍らに佇むランケスター。