アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

連戦シリーズ4週目:HSR九州サイクルロードレース 2018#3 【サヨナラなんていわねえぜ・・・】

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何だ・・・この情景は・・・?
この光景は・・・いったい
山の中の一本道・・・ただの道路だ
そうだ・・・これはいつものアレだ・・・
俺が事故って天国へ旅立った時の・・・アノ場所だ
いつもそうだ・・・いつもコレだ・・・
俺が死にそうになると、決まっていつもこの光景が浮かんでくる・・・懐かしい風景が・・・
これが走馬灯というヤツなんだろう・・・きっと
これで俺は楽になれる・・・
みんな・・・今までありがとう
じゃあな・・・

 

 

 

 

声が聞こえる。

誰かの声「落車!!!
俺の前方で落車した選手を回避するにはどうしたらいいのか?
急ブレーキをかけると後ろの選手が俺に追突する。イン側は選手がいる・・・となると回避する方法はただ一つ
最もアウト側(この場合右コーナーのため左側)にラインを変更するため、バンクしていたバイクを起こしてステアリングを若干アウトへ向ける。
そして落車した選手がアウト側に向かって滑ってくるのをかわしてから、コーナー出口へと脱出に成功した・・・そう思った。

その直後!

 俺の後ろで再び嫌な音と声が聞こえた・・・ような気がしたが多分、きっと、おそらく気のせいだったと思うことにする。

 

 そういえば今年3月に熊本で開催された九州チャレンジサイクルロードレースに参加した時も、これと同じことが起こったのだった。俺の前方を入っている選手が落車したため回避しようとしたのだが、その時はコース内に回避できる場所が全くなかったため、コースアウトしてグラベルに突っ込んで落車を免れたのだった・・・そのせいで先頭集団から脱落してしまったなぁ。まあ、あの時は一歩間違えば天国行きだったので運が良かったと言うべきか・・・。

 

 落車を回避できたのは良いが、今の回避運動によって先頭集団とかなり差が開いてしまった。


マックス(俺1人でブリッジをかけるにはシンドイ距離だが・・・ここで先頭集団から脱落するとレースが終わる・・・しゃあないなぁ~!行きますか!!)

 

 というわけで、脚を使うことを覚悟でシフトアップ+ダンシングで加速していくルイガノF!一気に差を詰めることに成功するマックスだが、後ろのクマモンズは勿論それを見逃さずにドラフティングに入って追撃してきている。
 これでなんとか先頭集団に追いつくことに成功したのだが、そこからも一進一退のバトルロイヤルが続いて3周目に突入。


 ここは九州、熊本ということで、この日も猛烈な暑さだ。

 このクソ熱い中をサーキットでガチバトルしている我々は脳ミソが沸騰するほど熱くなっている。
 ストレート区間ではボトルのドリンクを飲む選手が目立ってきた。

 

と、思ったその時である!


 ルイガノFがまるで後ろから引っ張られているような力を受けていると感じたのは!!

 

マックス(何だ!?リアブレーキなんてかけてないぞ!?いや!これは後ろの選手のバイクのフロントタイヤとハスってるぞ!)

 前方を走っているマックスのルイガノFのリアタイヤと、その真後ろを走っているクマモンズのフロントタイヤが接触したため、急制動がかかったような状態になったのだ!
 幸いなことに落車は免れたが一歩間違うとやってしまうところだった・・・これは最後まで油断禁物だぞ。

それからもマックスとクマモンズの血で血を洗う恐ろしいバトルが続く!
そして残り2周となったとき、先頭集団内でのポジション争いがさらにヒートアップしてきたのだ!
 集団のペースが上がり、コーナーからの立ち上がりやストレートでアタック合戦が開始された!

マックス「うお!?俺がアタックを仕掛けるつもりだったのに!チッ!出遅れた!」

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クマモンズのアタックに反応するだけで精一杯で、自分から仕掛ける隙がない。
 そしてファイナルラップ

バトルロイヤルは更に激化!
 そんな時、ホームストレートでクマモンズの1人が飛び出して逃げに入った!
 メイン集団が追いかけるが、絶妙な距離を維持して逃げ続けるエスケープクマモン!
 既に下り区間に入っており、残すところはストレート区間と最終コーナー、そしてホームストレートのみである。

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マックス(怪しい・・・泳がされているフリをしてるんじゃないか?この逃げているクマモンは・・・!?)

そう思った瞬間!

ついにマックスが動いた!

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マックス「ゴールスプリントを仕掛けるにはまだ距離があるが、このままあのクマモンを逃がしてたまるか!!

 

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 というわけで、遠すぎるゴールに向かって早くも全開走行に入るマッドマックス!

 ルイガノFのペダルを親の仇のごとく踏みまくって逃げるクマモンを追いかける!
 そして逃げるクマモンのドラフティングに入ることに成功!当然、マックスの後ろには別のクマモン達が張り付いているがもう全力で走るしか打つ手はない。
 そして最終コーナーに突入!

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 ここでマックスの後ろについていたクマモンがインに飛び込んできた!これを回避するため、一歩退いてしまいポジションが落ちる!

マックス「しまった!!」

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 コーナー立ち上がりからの全力スプリント時点で3位だったマックスだが、ゴール直前で更に後ろから出現したクマモン3人にさされてしまった。

そしてゴールラインを通過

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レースが終わりピットに戻っていく選手達。

マックスの順位は6位(46人中)

マックス「・・・恐ろしい戦いだった」

アナウンス「10位までの選手はバイクの検査がありますのでこちらにバイクを持ってきてください」
このレースではゴール後、上位10台のバイクは車検を受ける必要があるのだ。というわけで、ルイガノFをスタッフのところに持っていくことにする。
その時不意に後ろから声を掛けられた。


謎の人物「お疲れ様でした!速かったですね!これをどーぞ!」

振り返ってみると・・・そこには面識のない人物・・・ジョン(仮名)が自販機で購入したばかりの冷たいペットボトルを私に差し出していた。

マックス「えっと、お疲れ様でした。ありがとうございます!」

必死に記憶を探るのだが思い出せない。
ジョン「山口県の人ですよね?実は私も山口県なんですよ!そのジャージ、ODKのブルベンと同じチームですよね!?」
マックス「ああ、なるほど!ブルベンのお知り合いでしたか!」
熊本県まで来て山口県民の、しかもブルベンの知り合いに出会うとは思ってもいなかったなぁ。さすがスーパーランドナーだけのことはある!

ジョンとはブルベンの話題で盛り上がったのだがここでは割愛します(笑)

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その後、高速道路のSAでステーキ重を食べてから、パン屋さんで「大きなメロンパン」を買って食べようと思ったけど流石に無理があると判断して断念しました(笑)

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いくらなんでもデカ過ぎる!

 

そして再び人知れず独り暗闇の荒野へと消えていくマッドマックス。

その後マックスの姿を見た者は誰もいない・・・。