アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

最終章「The goal of all life is death.」#∞ 最終回【全ては時の中に・・・】

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人が倒れている。
路上に仰向けに倒れたまま動かない・・・いや、動けないようだ。
その倒れた人の傍らには2つの人影があった。
 
倒れている人「・・ッ・・・・」
 
全身を強く打ちつけているらしく身動きできない。
右側の頬には縦方向に金属片が深々と突き刺さっている。
その傷口は肉が抉れており、白い頬骨と歯が露出している。
このため声を出すことも出来ない。
大量の出血で辺りに血溜まりができている。
その面積は刻一刻と広がっていく・・・。
いくつかの関節は不自然な方向に曲がっており、倒れた人物の死期が近いことを窺い知ることができる。
既に大量の出血によって顔はまさに蒼白となっている。
今にも無に還りそうなその人物に語りかける。
SCARFACE「MAX、俺の声が聞こえるか?」
M.MAX「・・・」
言葉は無いが、僅かに頷いた・・・ように見えた。
SCARFACE「MAX・・・」
もう一人の人物が、動かすことのできないその手を取り質問する。
MONTINA.M「M.MAX・・・告解がしたいのか?」
M.MAX「・・・」
返事は無い。
しかし、その手を握り返してくるのがわかる。
MONTINA.M「汝の生涯の罪、全能の神に背いたことを悔いるのか?」
また握りしめてきた。
MONTINA.Mは、M.MAXの顏の上で十字を切って赦罪の言葉をかける。
MONTINA.M「我、汝の罪を赦し・・・」
その時、M.MAXの目の隅から涙が流れ出た。
そして、赦罪の言葉を言い終える時、握りしめていた手にいちだんと力が加わった。
MONTINA.M「聖父と聖子と聖霊の御名によって・・・The goal of all life is death(あらゆる生あるものの目指すところは死である)・・・全ては時の中に・・・AMEN」

SCARFACE「・・・MAX」
MAXが最期に何かを伝えたがっている・・・そう感じたため口元に耳を近づけた。
SCARFACE「何か言い残すことはあるか?」
M.MAX「ッ・・・ァ」
SCARFACE「・・・」
暫く・・・静かにそのまま耳を近づけていたが、やがて握っていた手から力が抜けるのを感じた。
MAXの目を見ると、その目は安らぎに満ちていた。
静かに・・・そっと・・・まぶたを閉じてやった。
 

 


ケープコッド編#13 【Cape jasmine】
 
夕暮れのケープコッド
ケープコッドの小高い岬の先端に墓がある。
その墓は丁度断崖の上に位置し、断崖の下では岩に荒波が叩き付けられている。
もう間も無く辺りは暗闇に包まれる頃、その墓の前に白い花束を持って立ち尽くす人が居た。

J.Lanford「約束を果たしに来たよ」

その墓にくちなしの花(Cape jasmine)を手向ける。
生前、彼が好きだった花。
墓に刻まれた文字をそっと指でなぞる。
J.Lanford「くちなしの花の花言葉は【とてもしあわせです】だけど、もう過去形か・・・」
墓碑銘には詩が刻まれている。

J.Lanford「結局、これは誰が読んだ詩だったのかわからないままになってしまったね」

 

Epitaph

おれの言葉に泣いた奴がひとり。
おれを憎んでいる奴がひとり。
それでもおれのことを、忘れないでいてくれる奴がひとり。
おれが死んだら、墓にくちなしの花を飾ってくれる奴がひとり。
みんな合わせて、たったひとり・・・・・・

 

Asch L. M. rest in peace forever.

The year of death is unknown.

INFINITY MADMAX

FIN