山口シクロクロス第1戦 【死亡フラグ】
11月上旬
ある晴れた日曜の午前中
私はクルマを西に向けて走らせていた。
ヴァジュラ「山口県の冬はそれなりに寒くなるものなのか?」
ナビシートに座るのは最近ブログのレギュラーになったSF社の出向社員ヴァジュラだ。
マックス「いや、そんなに雪が降ったりしないよ。降ったとしても大して積もることもないからな。俺が子供の頃は11月頃にも雪が舞うことがあったんだがな。これも地球温暖化の影響ってやつかもしれん」
本来であれば専属メカニックのモンティナが同行するのだが、仕事が忙しくてヴァジュラに白羽の矢が刺さってしまったのだ。因みに、魔改造専門店モンティナにはなにやらとんでもない魔改造の依頼があったらしい。このブログを見て試しに魔改造してみようと思った酔狂なお客さんのようだが・・・誰だ!?
しばらくタラタラ走っていると会場に到着する。
マックス「よし、早速バイクの準備を始めるか。俺は受付してくるからバイク頼むぞ」
ヴァジュラ「ああ、任せとけ」
バイクの事はヴァジュラに任せてササっと受付に向かう。
今日の受付にはお馴染みのアプリコットの姿が見える。
マックス「おはようございます~朝からお疲れさまです。」
アプリコット「あ、マックス!今日も頑張ってね!」
ゼッケンを受け取ってクルマに戻るとヴァジュラが立ち尽くしていた。
マックス「どうしたヴァジュラ?」
ヴァジュラ「なんだこのバイクは?お前シクロクロスなんて持ってたのか?」
マックス「ああ、一応オフロードもやってるぞ。このバイクは前のシーズンの最終戦に投入したKONAのニューマシンだ。良い色してるだろ?スカイブルーって感じでさ」
ヴァジュラ「まあ、お前の趣味にケチをつけたりしないけどな。空気圧は若干高めにしておいたから後で調整してくれ」
マックス「OK!OK!じゃあさっそく試走に行ってくる」
と、マックスがバイクに乗って変速したその時!!
ガチャガチャガチャ・・・ガキーーーーン!!
マックス「何だ!?何が起きた!?」
ヴァジュラ「チェーンだ。リアのチェーンが落ちてる。ローギアとスポークの間にな」
マックス「うげ!!!!なんてこったい!こいつを引っ張り出すのは約1年ぶりだからな」
シーズンが終わると完全に家のスペースを圧迫してしまう謎のオブジェクトになってしまうのがシクロクロスバイクの唯一の欠点なのだ。
ヴァジュラ「そのバイク、あちこち改造しているようだが、これは誰が弄ったんだ?」
マックス「勿論俺だ。モンティナに頼むと金をとられるからな」
ヴァジュラ「おいおい、バイク乗りなんだからそこはケチるなよ。変なメンテしてると怪我するぞ。ところでお前はメンテナンス技術を誰に教わったんだ?」
マッドマックスの金銀妖眼が怪しく光る!!
マックス「俺のメンテは自ら編出した我流!自らのメンテに賭けるのみ!!」
ヴァジュラ「お前は雲だったんだな・・・」
というわけで、RDの調整をするが中々決まらない。
マックス「うわーーーん!!!RDのセッティングが決まらないよ~!!助けてヴァジュラ~~!」
の〇太くんか!?というツッコミは置いておこう。
ヴァジュラ「3000円だ」
マックス「2000円にまけてくれ・・・」
ヴァジュラ「ダメだ。現金で3000円だ」
何となくブラックジャックと患者のやり取りを彷彿させる会話である。
そうしている間にも時間は流れていく。
このままでは試走できないどころか棄権することになるだろう。
マックス「わかった!払う!払います!修理頼むよ!ヴァジュラ!」
ヴァジュラ「はいはい。メンテをケチっちゃダメだぜ、マックス」
こうしてヴァジュラに整備してもらうことになった。
ヴァジュラ「ディレイラーのワイヤーも問題ありだな・・・ま、ここの調整もサービスでやってやるよ」
マックス「いやあ、やっぱSF社の出向社員は頼もしいな~」
ヴァジュラにバトンタッチしたらあっというまに整備が完了してしまった。
ヴァジュラ「よし、これで良いだろう。試走に行って来いマックス」
マックス「ありがとう、ヴァジュラ!この恩はしばらく忘れないぞ!」
んでもって試走開始。
ここのコースは真砂土がメインのコースであり、レイアウトはこれぞシクロクロスって感じになっている。前半にシケインがああり、平坦な道が続く。ただし、例の如くコーナーには砂、砂利が故意に配置してあって滑る!滑る!
中盤は丘をクネクネ上ってから、一気に駆け下りる。そして長いストレートを走り抜けると今度は上り坂があり、その先にはバイクを担いで崖登り&崖下り・・・という感じだ。
何周か走ってピットに戻るマックス。
マックス「さすがヴァジュラだ。バイクの調子が良いぜ!」
ヴァジュラ「それは良いんだが・・・お前のオフロードフォームは・・・何と言うか・・・ユニーク過ぎて突っ込み所満載・・・というか、突っ込むところ以外何もないんだが・・・お前のオフロードテクニックはいったいどこの誰に教わったんだ?」
マッドマックスの金銀妖眼が再び怪しく光る!!
マックス「俺のフォームは自ら編出した我流!自らのフォームに賭けるのみ!!」
呆れてものが言えないという感じで暫し頭を抱えるヴァジュラであったが、やがてマックスの肩に手を置いて・・・
ヴァジュラ「マックス・・・長生きしろよ・・・」
そう・・・これがマックスの死亡フラグになろうとうは、この時誰も知らなかったのである。
スタートラインに並んだ選手達。
これから恐ろしいことがその身にふりかかることを知らないマッドマックスがお気楽にガッツポーズを決めているのが痛々しい・・・
次回予告
ヴァジュラの心配が現実となってしまう。
恐怖のブービートラップがマックスに襲い掛かる。
マックスは再び天国へ逝ってしまうのか?
キミは時の涙をみる・・・