広島トレーニングレース2020 #2 【タイヤが無い!!】
というわけでマックスにとっての試走兼ウォーミングアップの個人TTが始まった。
30秒毎にスタートしてコース1周する。
高校生選手が全員スタート後、社会人選手がスタートしていく。
次はリヒターのスタートだ。
マックス「リヒター、落ち着いていこうか。2つの流水箇所に注意しろ!土砂が流れ出ていたら危険だ。本番はこの後のロードレースということで慎重にな!」
リヒター「下り坂はゆっくり行って、上りからペースアップするさ」
リヒターがホームストレートを加速していき、左に曲がって見えなくなる。
次はいよいよマックスである。
モンティナ「マックス、お前も気をつけろ。下り区間はスローペースで行け。救急搬送なんて洒落にならんからな」
マックス「了解・・・いくぜ!」
マックスがスタートしていく。
ホームストレートを左折してこのコースのピーク地点を通過する。
マックス「ここから下り区間だが・・・問題はどこに流水箇所があるかだ・・・」
下り区間に入ると、右に、左に、目まぐるしくコーナーがやってくる。
マックス「・・・・っく!コーナー直後に危険個所があると思うとマジで怖すぎるじゃねーか!」
コーナーを曲がるたびにブレーキングしてしまうマックス。
実のところ、約1年前にこのコースを走ったことがあるのだが、レイアウトはよく覚えていない。ただ、下り区間はすべてノーブレーキで走ることができたのは覚えている。
マックス「コーナーの出口が怖くて思うように突っ込めない。もう、どうしろってのよ・・・」
そんな時、流水箇所が視界に入る。
マックス「あれか!よーし!」
コーナリング中にバンクさせていたバイクを立てて、水の流れる場所に対して直角ラインで突入する。
落ち着いて処理することで無事に突破することができた。
マックス「・・・・やれやれようやく一か所か・・・」
もう一か所もビクビクしながらもなんとか無事に突破することに成功。
下り区間が終わり、次は上り区間に入るのだが・・・ビビリミッター全開で走ったので既に精神的に疲れてしまった・・・。
マックス「クッ・・・下りで物凄いタイムロスしちまった。試走しなかったことがこんなに足を引っ張るとは・・・」
そこから淡々と走り続けてフィニッシュ。
モンティナ「随分と遅かったな。落車して動けなくなったのかと思ったぞ」
マックス「すまん。ビビリミッター全開でダメダメだったわ・・・無念」
リヒター「お疲れ様。俺も下りはブレーキかけたよ。普通はノーブレーキで走れるはずなのになぁ。でも流水箇所がわかったから本番のロードレースではノーブレーキで全開走行できるぞ」
マックス「そうだな。この後のロードレースで借りを返してやろうぜ」
そんな時突然声をかけられる。
広島県選手「あ、探しましたよ!」
マックス「はい?私に何か・・・??」
広島県選手「あなたのバイクのリアタイヤ、削れてケーシングがむき出しになってましたよ」
マックス「なんですと!?」
ニールプライドのリアホイールは決戦用のため普段は使用していない。このためタイヤ交換してからそれほど距離を走っていないのである。そんなに消耗していないはずなのだが?
恐る恐るリアタイヤを回してみると・・・
マックス「何じゃこりゃあああああああ!!!」
モンティナ「うむ。本当にケーシングが剥き出しになってる。これはリアブレーキでタイヤをロックして一部が削り取られたんだな」
広島県選手「予備タイヤはありますか?」
マックス「バッグの中に入れてあるはず」
慌ててクルマの中のバッグをひっくり返す。
だが、タイヤが見つからない!
マックス「そんな馬鹿な!?確かに入れておいたはずだぞ!?」
モンティナ「ああ、パナレーサーのタイヤなら、この前サイドカットしたときに使ったじゃないか」
マックス「・・・・そうだった!タイヤ交換したんだった!なんてこったい!!!」
タイヤがこんな状態では本番のロードレースに出場するのは無理だ。
マックスの脳裏に棄権の文字が大きく浮かび上がる。