アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

もみじシクロクロス第1戦#01 俺に勇気と力を・・・

前日の大雨は止んでいるが時折小雨パラつく微妙な天候。

その癖、気温は結構高い。

悪いことにコースの路面は乾ききってはいない。

コースのあちこちに水溜まりができている。

特に、上り区間路面は抜かるんだ粘土のため、リアタイヤがスリップしてしまう。

 

今回のコースは広島県のテクニックステージタカタだ。

本来はオフロードカーレースで使用するコースである。このため、基本的にコースは砂利道となっている。

この直ぐ近くにモーターサイクルのサーキットもあり、この日も甲高いエンジン音が鳴り響いている。

昔、モーターサイクルのサーキットの2時間耐久レースに出場したこともある。

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現在は試走の時間である。

コースには各カテゴリーの選手が混在して走っており、キッズクラスの子供たちも居るので注意が必要だ。

 

そんな中、マックスがバイクを担いでピットに戻ってきた。

スカーフェイス「どうした?パンクでもしたのか?」

マックスがKONAのリアタイヤを握って見せる。

タイヤからは完全に空気が抜けているようだ。

マックス「まいった・・・試走でいきなりパンクしちまったよ。シーラントでも直ぐには塞がらない」

スカーフェイス「そうか。でも安心しろよ。お前だけでなく、さっきからパンクが続出して、ランニング大会になってるからな」

よく見ると、マックス同様にバイクを担いだり、押している選手が複数人見える。

マックス「砂利道だと思って甘く見ていたぜ。砂利の中にいろいろ埋まってるみたいだ。下り区間で勢いよく突っ込んだらやっちまった」

スカーフェイス「試走の段階で問題が見つかってよかったと思えよ」

マックス「そうだな。さてと、パンク修理するか」

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とりあえずシーラントで穴が塞がることを期待してい、シーラントを注入してから空気を入れてみる。

マックス「・・・ここに穴が空いているな、空気が漏れる音がする。ホイールを回してみるか・・・」

ホイールを回して穴の付近にシーラントが来るようにすると、勢いよくシーラントが噴き出してきた。

マックス「・・・・・・・」

一向に塞がる様子がない。

スカーフェイス「こりゃダメだな、これは。空いた穴がでかすぎて塞がらない」

マックス「このタイヤ買ったばかりで、今日初めて使ったんだぞ」

前のシーズンの最終戦で同じくリアタイヤがパンクしたためチューブを入れて走ったのだ。

その後、新品のタイヤを購入して今回のレースに臨んだのだが・・・一回もレース本番で使用することなくパンクして使用不能となったのだ。

スカーフェイス「残念だったな。まあ、無理なものは無理だ。とっととチューブを入れろ」

マックス「やれやれ・・・オフロードはコストが高すぎるんだよな。レースの度に何かが壊れちまう」

ブツブツ言いながらタイヤを取り外してチューブを入れて応急修理完了。

 

スカーフェイス「リアはチューブ入りだから空気圧高めでもう一回走ってこい」

マックス「ああ、いってくる」

こうして試走の段階でメカトラブルに見舞われてしまったマックス。

幸先の悪いスタートとなってしまった。

 

試走終了後、他のカテゴリーのレースを観戦する。

午前中に行われるのは次のカテゴリーだ。

①CK

②C4、CM3

③C3、CM2

 

そして午後からは

④C1、C2、CM1

C1は60分、C2、CM1は40分のレースなのだが、今回は人数が少ないため混走となっている。

因みにマックスのカテゴリーはCM1だ。

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スカーフェイス「どうだ?いけそうか?」

マックス「砂利道のコースは初めてだから勝手がわからないんだよな・・・ペダルを回してもタイヤがスリップして前に進む感じがしないんだ」

スカーフェイス「おいおい、そんなの後輪にトルクがかかるように重心移動すれば済むだろ。以前、俺が教えてやったことを思い出せ」

その昔、スカーフェイスはマックスのコーチを務めていたことがある。

マックス「でも、あれは確かマウンテンバイクのテクニックだっただろ?」

スカーフェイス「やってることは同じだ。いいから俺を信じろ」

マックス「お前を信じるよ、スカーフェイス

 

いよいよマックスの出走時間となった。

スタートラインに並ぶマックスと、それを見守るスカーフェイス

マックス「行くぜ、カイン」