アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

もみじシクロクロス第1戦#03 勝者の条件

水色のKONAを駆ってラップを重ねるマックス。

徐々にこのコースの攻略方法を理解してペースアップ!

機材トラブルやパンクした選手を周回遅れにしていく。

昼からのレースということで気温も上がっており、ボトルのドリンクの消費が激しい。

 

マックス「しまったな・・・こんなことならピットにドリンク置いておくんだったぜ」

 

今更言ってもアフターカーニバル・・・後の祭りだ。

60分間走り続けなければならないC1選手はピットにボトルも用意しているようだ。

 

マックス「とりあえず水分補給を抑えつつ走るしかないな」

 

全身から大量の汗を流しながらペダルを回し続ける。

ロードバイクのオフシーズンのトレーニングとして行われていたオフロードの競技を、きちんとしたレースとして規定したものがシクロクロスである。

必然的にもっと寒い時期を想定した競技であり、この暑い時期に参加するのは今回が初めてのことである。

競技時間の半分が経過した頃だろうか、前走者との距離が縮まってきている。

 

マックス「あれは・・・C1選手」

 

ゼッケンの色でカテゴリーが区分されているのだ。

マックスがペースアップしたことで、先行していたC1選手に追いついてきた。

この時点で競技時間40分のカテゴリーであるC2,CM1選手の中ではトップを走っている。

現在、マックスの前を走るのは残すところC1選手のみだ。

 

マックス「どうするべきか?前のC1選手を追い抜くために落車覚悟で更にペースアップするか?それとも今のペースを維持してアクシデントやトラブルを避けて無難にゴールしてクラス優勝を手に入れるか?」

 

無理なペースアップで落車やパンクで、優勝を逃すことは良くあることである。

ぶっちゃけC1選手をパスしても順位が変動することはなく、マックスには何のメリットもないのだ。

 

マックス「ペースを維持して労せず優勝する方が良いよな・・・常識的に考えて」

 

そう思ってペダルを踏む力を緩めようと思った時、ふとを見上げる。

所々に雲が残っているが、透き通った青空が見える。

 

マックス「綺麗だな・・・

 

そう呟くと猛烈にペダルを踏み始めるマックス

後先考えずにペースアップしてC1選手に挑む!

 

マックス「One step forward!!見ていてくれ!カイン!」

 

落車を恐れず果敢にコーナーに突っ込んでいく。

スカーフェイス直伝のテールスライドをガンガン使って徐々にC1選手との差を縮めていく。

 

マックス「真っすぐに前へ・・・1歩前へ!!

 

そんな時!

 

コーナリング中、テールスライドに失敗して体制を崩してしまう!

 

マックス「しまった!」

 

落車か!?と思った瞬間

即座にペダルからクリートを外して、足で地面を蹴飛ばして強引に体制を立て直すマッドマックス!

 

マックス「うおおお!!前へ!!1歩前へ!!!

 

もはや根性で曲がっていく!

魅せます!ド根性!

どっかのキャッチフレーズをパクるマックス。

 

前を走るC1選手が後ろから猛烈な勢いで追いかけてくるマックスに気付く。

それまで淡々と走っていたのが嘘のように全力でペースアップする。

 

マックス「チッ!気づかれたか!」

 

あれだけ派手に追いかければ気付かれるに決まっている。

さっきまで距離が縮まっていたのだが・・・今度は距離が離され始める。

 

マックス「くううう、逃がしてたまるか!!!」

 

それでも必死に食らいつくマックス。

その後も距離が縮んでは離されるを繰り返す。

両者一歩も退かない激しいバトルの応酬が続く。

そんな時、ついにマックスのボトルが空になる。

 

マックス「しまった!もうドリンクが残っていない」

 

額からダラダラと汗を流しながら必死に追いかけるが、その差が広がっていくのがわかる。C1選手がコーナーを曲がっていく度にその姿が徐々に見えなくなる。

 

マックス「クソ!このままでは逃げられちまう!次の階段区間でなんとか追いつかないと!」

 

そう思って更にペースアップしてコーナーを曲がる。

 

その時である!!

 

スタートフィニッシュラインが見えたところで、チェッカーフラッグが振られている。

 

マックス「なっ・・・・馬鹿な!?

 

CM1の競技時間40分が経過してマックスはトップでゴールとなったのだ。

40分カテゴリーでは優勝したのだが、バトルが途中で終わって何だか不完全燃焼気味のマックス。

 

マックス「でも・・・久しぶりに最後まで諦めることなく走り切れたし、カテゴリーではこれまた久しぶりに優勝できた」

スカーフェイス「マックス!優勝だぞ!やったじゃないか!」

マックス「ありがとうスカーフェイス。お前の教えてくれたテールスライドのおかげだよ」

スカーフェイス「へへへ、礼ならいずれ形のあるものでな!十分感謝しろよ~」

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因みに、感染症予防のために人と接近するときはマスク着用が義務付けられている。

表彰状の授与も密を避けつつ行われた。

こんな状況でもスタッフの皆さんがきちんと感染予防した上で、コース設営、競技運営を行ってくれたおかげでレースに参加できたのである。

この場をお借りして感謝申し上げます。

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C1選手に追いつけなかったが心は晴々とした気分だった。

最後まで完走すらできないレースが続いて、ずっと落ち込んでいたマックスだが今回の勝利で何かが掴めたようだ。

マックス「勝つために必要なもの・・・」

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ピットに向かって1人歩きながら雲の隙間の青い空を見上げると・・・そこからは柔らかい陽の光が差し込んでいる。

マックス「見ていてくれたか?カイン・・・お前がくれた勝利だよ」