アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

広島県サイクルロードレース2017 阿修羅連合軍 VS マッドマックス #5

【阿修羅の罠】

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 コーナー、アップダウンをクリアしていく広島の選手達の様子を後ろから観察するマックスだが・・・。
「・・・まずいな。この人たちレースの駆け引きが上手だ。フェイクのアタック、ダンシングを織り交ぜて、後ろの選手の足を削ってくるぞ」
「いや、予想通りだ。焦って動くなよ、マックス」
 そしてレースが始ってから一番キツイ上り坂がやってきた。きっとここで何か仕掛けてくる。私の直感がそう教えている。
それは一瞬の出来事だった。
 マックスの後ろに居た長身の選手が、いきなり豪快なダンシングで集団を抜き去って先頭に出てきたのである!
 これには他の選手達も一瞬動揺したが、直ぐに追いかけて頂上付近で後ろに付く。マックスも千切られることなく付いていくことができたようだ。
「今の上りのアタックで、全員の上りの速さがわかったぞ。まだ他にも何か隠していそうだけどな」
マックスは冷静に観察しているようだ。

 しかし、マックスの前を走る選手が頻繁にマックスの様子を窺うようになった。どうやらさっきの上りのアタックについてきたマックスを警戒しているようだ。やれやれ・・・無印ジャージ作戦はもう使えないな・・・。
 そして、この時から本格的な千切りあいが始った(>_<)それも、スピードに緩急をつけた駆け引きを織り交ぜながらだ。つられて動くと脚が削られる!
 昨日のダメージが残っているマックスだが、ここで引き離されると後はもうグダグダになってレース終了することになる。
「引き離されるなよ、マックス。ここで呆気なく千切られると、昨日お前と走った大分の選手達に申し開きできないぞ!」
 そして長い吊橋の区間に入ると、いったん集団のスピードが落ち着いた。
橋を渡り終えると、再び上りになって全員が加速していく。マックスも追走して頂上へ。そして下りに入り一息ついたマックスの前の選手が急加速してコーナーを曲がって行く。
 フェイクだ・・・つられて加速してはいけない。そう判断したマックスはペースを維持する。下りコーナーが終わった時、マックスの目の前には長い上り坂が現れた。

「しまった!やられた!!!」

 マックス以外の選手は全員下りの勢いを使ってそのまま一気に上っていく中、マックスは加速が遅れた為、坂の途中で失速する。
 同じく失速した何人かの選手を追い抜くことができたが、その間に3名が飛び出していき、既に距離が開いてしまっている。 県外遠征の弱みが出てしまった。試走が不十分でコースの先がわからないので行動が遅れてしまう。
「ダメだ・・・差が開いていく。どうすれば良い?」
「まだだ!まだ諦めるな!大分で一緒に走った選手のために根性で付いていけ!」
前方の3名の姿がしだいに遠のいていく。

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 だが、マックスは全力でペダルを回し続ける。コースの先が全く分からない中、限界ギリギリのスピードで落車の危険と隣り合わせになりながらも全開走行を続けるマッドマックス。