【ケープコッド編#4】 アッシュと雨宿り(ジョージタウンの惨劇)
【ツーフィンガー】
少し暗めの店内にはジャズピアノの曲が流れている。この曲は何度となく聞いているが不思議と飽きが来ない。
お店の調度品はどれも一般的jなもので揃えてある。アッシュによると、落ち着ける場所がこの店のコンセプトらしい。
アッシュ「モンティナ、今日は何にしますか?」
ボトルの置かれている棚を見ながらしばらく考える。何にするかな・・・?
モンティナ「じゃあ、いつもので」
アッシュ「あれ?お客さん、来られたのは今日が初めてなのでは?」
どうやら最近顔を出していないので拗ねているようだな。
モンティナ「悪かったよ・・・一番高いお酒をボトルで頼む」
アッシュ「あっはは、冗談ですよ。ワイルドターキーをダブルですね」
私に向けてピースするアッシュ。うーん、こいつ最近私に似てきたな。いや、私がアッシュに似てきたのか?
モンティナ「チッチッ、ダブルじゃないぜ。ツーフィンガーだ!」
と、私も負けじとピースする。
アッシュ「それ、同じですから。何か食べますか?」
メニューを眺める。ここだけの話、優柔不断な私はメニューから選ぶのがとっても遅い。
モンティナ「メニューに無いものでもOK?」
私は偶に店員を困らせる悪い癖がある。
アッシュ「ダメ」
しかしアッシュの方が上手である。
モンティナ「えーと・・・ミックスチーズと・・・ミックスピザを」
アッシュ「やっぱり迷ってダブルミックスにしましたね(笑)では、少々お待ちください」
L・アッシュ・M・・・こいつとは不思議と気が合う。一つだけ相容れないものはアッシュの服装のセンスくらいなものだ。今時全身黒ずくめなんてアナクロ過ぎにも程がある。黒の組織じゃあるまいし・・・。
そんなアッシュと初めて出会ったのは忘れもしない・・・何だっけ?
・・・あの日、私はジョージタウンをバイクで流していた。既に街は闇に包まれており、分厚い雨雲から大粒の雨が降り出してきた。
雨具を持っていない私は、急いで雨宿りできるところを探してプロスペクト・ストリートの・・・
アッシュ「お待たせしました。ワイルドターキーダブル・・・いやツーフィンガーでしたね」
モンティナ「ありがとう。ちょうどお前と初めて会ったときのことを思い出していたんだ。あの雨の日の夜・・・」
アッシュ「・・・そんなこともありましたね。食べ物も直ぐに用意しますよ」
そういうとアッシュは食べ物の準備を始めた。どうやらあの時の惨劇を思い出したくないようだ。
グラスをグルグル回してから1口飲む。基本的に、私はアルコールに弱いのだが唯一ウィスキーは体質に合うようだ。
それでも常人の半分飲めるかどうかなんだが・・・ん?ミックスチーズが出来たようだ。アッシュが皿を持ってきた。
アッシュ「そういえば、さっきジェニファーが来ていましたよ」