アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

マックス VS モンティナ #6

【強者の条件 打倒醤油派】 

 クルマのフロントガラスに大粒の雨が叩き付けられ、遠くから雷鳴が微かに聞こえてくる。
 アッシュがワイパーの速度を上げて、フロントガラスの雨水を弾き飛ばす。
マックス「積もる話はまだまだあるが・・・そろそろ本題に入ってもいいぜ」
運転するアッシュを見ながらマックスが話しかける。
 
アッシュ「見させてもらったよ。モンティナとのバトルを」
驚きを隠せないマックス。
マックス「見ていたのか?気が付かなかったな」
アッシュ「序盤の峠の頂上に居たんだが・・・予想通り序盤で決着がついてしまったな。10年前のアルミバイクと最新のフルカーボンバイクでは勝負にならなかっただろ」
マックス「・・・・・」
アッシュ「手を組むべきじゃあないかと思ってね。我々は」
マックスの方を見ながらアッシュが微笑む。
 
マックス「なに?・・・手を組む?」
アッシュがクルマを減速させる。
アッシュ「・・・到着したよ。説明するよりも見てもらった方が早いだろうからね」
アッシュがクルマを下りる。マックスもそれに続く。
ガレージのシャッターを開けて明かりを付けるアッシュ。ガレージの中にはディスプレイスタンドに固定された1台のロードバイクがあった。
 
マックス「これは・・・お前のバイクなのか?」
アッシュ「ああ。ただし、私は一度もそのバイクには乗っていない。正確には・・・あの日から一度もバイクには乗っていない・・・」
マックス「・・・・」
悲しそうな表情でアッシュを見つめるマックス。
アッシュ「私にはもう無理だが・・・キミならできるかもしれない・・・このバイクを乗りこなすことがね」
マックスがそのバイクに近寄って細部を眺める。
マックス「フレームもフォークも全て真っ黒だな。メーカー名すらわからないが・・・ハイエンドのフルカーボンバイクなのか?」
アッシュ「ヘッドチューブのところを良く見てみろよ」
言われた通りマックスがヘッドチューブを見る。
マックス「これは・・・カーボンじゃない。アルミだ」
アッシュがニヤニヤしながら説明を始める
アッシュ「その通り。アルミバイクだ。但し、いわゆる軽量アルミバイクという奴で別名カーボンキラーとも呼ばれている。これならモンティナのホワイト・パーシュートスペシャルと互角に戦うことができるはずだよ」
 
マックス「しかし、何故俺に協力するんだ?別にモンティナに恨みがあるわけでもないだろ?」
アッシュ「もちろんモンティナは今も友達さ。だがそれとは別に・・・醤油派に天下を取らせるわけにはいかないのでね」
マックス「何だと?アッシュ、お前はソース派だったのか?」
アッシュ「ああ。ただし!お好みソース派だ。ウスターソース派のお前とは本来は相容れない仲なのだが・・・そうも言ってはいられない緊急事態なのでね」
マックス「お好みソース派とウスターソース派が手を組んで、醤油派を打倒するわけか・・・わかったよ、アッシュ。手を組もう」
力強く握手する2人。
ウスター&お好みソース連合が結成された瞬間である。
 
ここに新たな戦いの構図が描かれた。
ウスター&お好みソース派連合 VS 醤油派
マックス&アッシュ VS モンティナ
カーボンキラー VS フルカーボン

果たして勝負の行方は!?