アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

マックス VS モンティナ #8 最終回

【決着の時】

 

 ゴールへと続く左カーブへ並んで突入するマックスとモンティナ。イン側がモンティナ、アウト側がマックス・・・奇跡が起こらない限りマックスに勝ち目はない。

  

マックス「ダメだ!!やられる!!!!」

敗北を悟りペダルを回すのを止めようとした・・・その時

アッシュ「インだ!インをおさえろ!!」

ゴールで待っていたアッシュが叫ぶ!マックスはその言葉の真の意味を正確に理解することはできなかった。しかし、身体が勝手に動く。

 マックスは素早いブレーキングでモンティナのドラフティングに入り、同時にシフトアップした。

モンティナ「マックスが消えた?・・諦めたか!?」

次の瞬間!マックスはドラフティングからモンティナの左に飛び出して、インの更にインをついた!

 そこにはガードレールの外から伸びた大量の雑草が飛び出しているのだが、躊躇なくその茂みにカーボンキラーで飛び込むマックス!

 モンティナは雑草を避けて走っているため、ギリギリまでインを攻めきれていない。

モンティナ「な?馬鹿な!」

マックス「うおおおおあああぁぁぁぁーーーー!!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

アッシュ「見事な勝利だったよ、マックス。どうやら私のカーボンキラーは役に立ったようだね」

マックス「・・・お前のアドバイスがなければ負けていたさ。でも、これで・・・ケリはついた・・・お前もだろう?アッシュ」

予想外の質問に少し驚くアッシュ。

アッシュ「ん?・・・・ああ・・・・」

しかし、全て納得した表情でゆっくりと肯定するアッシュ。

アッシュ「これで醤油派の野望を打ち砕くことができた・・・。暫く旅にでることにするよ。何かあったら呼んでくれ。いつでも駆け付けるよ」

マックス「アッシュ・・・・ありがとう・・・」

 強大な敵、醤油派を打ち破ったのは、ウスターソース派とお好みソース派の種類を超越した執念だった。一瞬の奇跡かもしれない。しかし、ソース派の2人は勝利を確信したのだ。醤油派という巨大な壁を乗り越えたことで、マックスとアッシュは再び希望の光に向かって歩み始めることができるようになったのである。

 

 マックスとアッシュは固い握手を交わすと、無言のままそれぞれの道へと歩を進めた。アッシュはカーボンキラーをクルマに乗せると、そのまま何処かへと走り去った。

マッドマックスは独り寂しそうに・・・アッシュのクルマが見えなくなるのを見届けると、再び暗闇の荒野へと消えていくのであった。

 その後、マッドマックス、アッシュの姿を見た者は誰もいない。

 

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同時刻

 

 暗闇の荒野を独りホワイトパーシュートスペシャルを走らせるモンティナ。
 様々な思いが頭を駆け巡り何も纏まらない。
 
モンティナ「醤油が負けた・・・醤油がソースに敗れた・・・
 
醤油派のモンティナはソース派のマックスに負けたのだった。
 肩を落として自宅に向かうモンティナ。今やそのスピードはママチャリ以下にまで落ちてしまっていた。

 

 自宅前の道路に到着しクリートを外すモンティナ。ボトルケージに手を伸ばし、ボトルの水を飲もうとするが、ボトルの中身は既に空っぽだった。
 
モンティナ「・・・チッ・・・」
 
 そのとき街灯に照らされている道路の向こう側の暗闇の中から声が聞こえた。


闇の声「やれやれ、もっと早く戻ってくると思っていたのに、随分と待たされたよ」

モンティナ「・・・誰だ?」

闇の声「手を組むべきだと思ってね。我々は」

モンティナ「手を組む・・・だと?誰かは知らないが・・・お前は醤油派なのか?」

闇の声「ああ。但し!刺身醤油派だ。本来は普通の醤油派のお前とは相いれないのだが・・・」

モンティナ「ええぇぇぇーーー!!?さ、さしみ醤油派?いや・・・失礼だけど、今まで一度も聞いたことないぞ、そんな派閥あったのか?・・・目玉焼きに刺身醤油って・・・罰ゲームか何か?」

  

一見平和に見える世界・・・しかし、こうしている間にも世界のどこかでは醤油派とソース派、さらにはマヨネーズ派、塩コショウ派等々の熾烈な戦いは繰り広げられているのである。