最終章「The goal of all life is death.」#06 【九チャレ続き 2代目トムとジェリー登場】
落車した選手を、クワトロは左に、マックスは右に避けることに成功したが、これで大幅にスローダウンしてしまった。落車した選手よりも後ろの選手達はメイン集団から完全に千切れてしまう。
マックス「ブリッジ!!」
間髪入れずにマックスが叫ぶ!と、同時に古賀ちゃんをアウタートップまで一気にシフトアップして全開スプリント体制に入るマッドマックス。もう後先考えず、脚を使い切るつもりでガンガンペダルを踏む。
マックスのブリッジに呼応してクワトロがマックスのドラフティングに入る。ODKとESによる2両編成列車の誕生である。マックスの全開スプリントでも追いつくことは厳しい距離だが2人で追いかければ・・・あるいは・・・。
マックス「千切られてたまるか!!!オラオラオラ!!!」
マックスの謎の必殺技オラオラ?が炸裂!
しかし、全開スプリントが長く続くはずもなく、マックスがスピードダウンし始める・・・が、今度はクワトロが前に出る。その後ろにマックスが入り先頭集団を追走する。
山口県勢の2両編成列車は果たして集団に追いつくことができるのか?
数秒後・・・
無事にメイン集団に追いつくことができたのであった。
ホッとするマックスとクワトロ。
しかし、この時既に今のブリッジで脚を使い果たしてしまったため、もうそんなに長い事メイン集団について行くことはできないだろうと予想するマッドマックスであった。
そして4周回目となったため、アッパーステージからロウアーステージへと突入することとなる。
メイン集団の選手全員の緊張が一気に高まる。
「ブレーキ!!!」
「左曲がるぞ!ブレーキ!!!」
集団の彼方此方から声が上がる。
フルブレーキングからUターンして、そのまま恐怖のダウンヒルに突入するメイン集団。どんだけスピード出ているのか知りたくもないくらいで坂を下っていき、その後、直角に曲がって幅2メートル程度の橋に突っ込んでいく。
またもやカーボンホイールが焦げる臭いがする。
なんとか落車する選手もなく橋を渡り切ることに成功。
そこから高速巡航に移って、川沿いを走り抜ける。
そして、前年のレースで落車を回避するためにグラベルへ飛び込んだ因縁の場所も無事にクリアすると、最初のヒルクライムが現れた。
ここもUターン後に上り坂が現れるため、ほぼゼロ発進することとなり非常にキツイのだ。ここで振るい落される選手が続出する。マックスはダンシングで強引に突破することに成功したのだが・・・もうあまり余力が残っていない。
そこから再びダウンヒルからの高速コーナーに突っ込んでいくメイン集団。今のでかなり人数が減っているようだ。
そして再びUターンすると、今度はこのコース最大の激坂区間がやってくる。ここで次々とスローダウンする選手が現れるが、もう混戦状態でどうなっているのかよくわからない。
とにかく先頭集団は人数を減らしながらも、物凄いスピードで激坂を上っていく。
マックス「くっ!脚の調子が悪い。さっきブリッジを掛けるのに脚を使い過ぎたのが・・・」
落車回避からのブリッジで脚を使い切ってしまい激坂に対応するだけの余力がもう残っていないのである。
坂の8割くらいまで先頭集団についていくことができたのだが・・・そこで脚を使い果たして千切れてしまった。
そこから単独となってしまったが、粛々と前を追いかける。メイン集団から千切れた選手たちが単独で走っているが、どの選手も今の激坂で脚を削られてペースアップできないようだ。
そんな中、徐々にペースアップしていく2名の選手を見つける。
マックス「まさか・・・トムとジェリーか!?」
専門用語:トムとジェリー
前年の九チャレでマックスと共闘してメイン集団を追いかけた戦友トム選手とジェリー選手。当初は特定の個人名を指していたのだが、その後意味が変化する。
現在は、当初は敵同士である猫(トム)と鼠(ジェリー)が、共通の強敵(ブルドッグ)に立ち向かうために共闘し、いつしか掛替えのない無い戦友になっていくことを意味する。
ジャージを見るとあのトムとジェリーではないことが分かる。
しかし、このまま単独で走っては失格となってしまう。ここは共闘を申し込むべきだと判断するマックス。
トムとジェリーの後ろに付いて暫くすると2人に声をかける。
マックス「交代します!一緒に先頭集団を追いかけましょう!」
トム&ジェリー「よし!追いかけよう!」
ということで戦士トム、魔法使いジェリー、遊び人マッドマックスという3人パーティーが結成されました。
走りを見る限り、トムが一番ベテランのようでローテーションのタイミングを指示してくる。それにしたがってジェリーとマックスが細かく先頭交代しながらペースアップする。
このままのペースを意地できればDNFにならずに済む可能性が出てきた。
希望の光でさらにペースアップしながら高速巡航して、私が交代して後ろに下がった時にジェリーが千切れて遅れているのに気付く。
トムはジェリーを待つことなくそのままのペースを維持するようだ。
ここで究極の選択を迫られる。
ジェリーを待つか?
トムに付いていくか?
どうするマックス、考えろマックス。
その時トムが声をかけてくる。
トム「マックス!ばらけるなよ!ばらけて単独になったら2人とも失格になるぞ!」
マックス「・・・わかった。ペースを維持しよう」
ここで、非情にもジェリーを置いていくことを選択した。
すまないジェリー、薄情な俺を許してくれ・・・。
徐々に遠ざかっていくジェリーに手を振って別れを告げるマックス。
そして、もう後ろを振り返ることなく前に進むトムとマックス。
暫く走るとコース上に回収車が入っているのが見えてきた。通り過ぎる時に中をチラリと覗くと・・・落車によって負傷した選手と破壊されたバイクの姿が・・・。因みにさっきの落車とは全く別の場所です。
そして再び激坂区間に突入する。
トム「マックス、全力で登るなよ。登った後もペースを維持できる程度の力を残すんだ。そして絶対にバラけたらダメだぞ!」
的確な指示を出すトム
マックス「了解!」
ジェリーが居なくなり、2人で先頭交代するため負担がきつくなった。
そしてきつくなって交代を申し出るマックスだが・・
トム「ダメダメ!まだ早い!」
マックス「うぐぅ・・・り、了解!」
なかなか厳しいトムである。が、確かにペースを維持しないと待つのはDNFだ。
そしてラスト1周に突入。これでDNFは免れることができた。
しかし、気を抜くわけにはいかない。少しでもタイムを縮めるためにペースを維持するトムとマックス。
残り2キロの看板が見えたところでマックスが声をかける。
マックス「トム、いろいろありがとう。トムのお陰でDNFにならずに済んだ。このまま2人でゴールしよう、先頭はトムだ」
トム「あはは、わかったよ。こちらこそありがとよ」
そしてゴールスプリントをすることなく2両編成の列車はゴールしたのであった。
その後、トムとマックスはガッチリと握手を交わしたのであった。
無性に腹が減っていたため、独りで鹿肉カレーを食べているとロベルト、アポリー、クワトロがやってきた。因みに、この鹿肉カレーは激ウマでした!
ロベルト「序盤からガンガンアタックしたけどダメだった。脚を使い過ぎて終盤になって集団から千切れてしまったよ~」
マックス「山口県屈指の猛者ロベルトでもか!?うーん、恐ろしレースなわけだ」
ロベルト「いやいや。でもね、アポリーは入賞したよ!」
アポリー「あはは、ゴールスプリントでやったぜ!!」
マックス「おおお!凄いな!!!おめでとうアポリー」
クワトロ「俺は激坂でバックファイヤーして撃沈しちまったよ~キツイわあの坂。そうそう、あの落車の時のブリッジが成功してよかったよな」
マックス「ああ、あの時は引いてもらったね。ありがとうクワトロ」
クワトロ「いやいや、こちらこそ最初に引っ張ってもらって助かったよ。アッパーステージで千切れるのは嫌だからなぁ」
マックス「いや、全くだね」
ロベルト「今度はマックスも後泊して、皆でお酒を飲みにいこうぜ!いいお酒があるんだよ、これが!」
マックス「いいね!その時は是非、ロベルトお勧めのお酒を飲みにいこう!」
翌日仕事のマックスはここでESの3名と別れて帰路につくのであった。
帰りの高速道路の関門橋付近で交通事故があり、大渋滞が発生しており、関門トンネル経由で帰ろうと針路を変更するも、関門トンネルも超大渋滞が起こって万事休すのマッドマックスであった。
マックス「・・・まあ、世の中ってこんなもんさ!あっはははは・・・・はぁ~やれやれだぜ・・・」