アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

最終章「The goal of all life is death.」#03 【きらら浜CM 隣り合わせの落車と青春再び!?】

モンティナ「明日はエンデューロなんだろ?の痛みはどうだ?」
マックス「それがな、怪我をして数日間はそれほど痛みも無かったんだけど、水曜日についつい油断して重い物を持ち上げようとした時に激痛が走ってな。それ以来痛みが悪化してしまったんだ」
先週のもみのき森林公園での落車によってマックスの右側の肋骨にはヒビが入っていたのだ。
モンティナ「やっちまったのか。で、どうするんだ?棄権するか?」
マックス「そうだな。深呼吸すると肺に痛みがあるし、右腕に大きな振動を受けるとこれまた肋骨ズキズキする。棄権しても良いと思う。でもな・・・ブログの最終章【The goal of all life is death.】がもう始っている」

今年に入ってからスタートしたマッドマックスブログの最終章のタイトル【The goal of all life is death.】は、フロイトの言葉であり、その意味は「あらゆる生あるものの目指すところは死である。」という、天国から還ってきた私のブログの最終章に最も相応しいタイトルだ。現在、最終章の2話まで投稿しており、このシリーズの最終話=ブログの最終回となる。最終回を迎えた時、私は・・・


マックス「常にベストコンディションでレースに参加できるとは限らない。そして俺には退かぬ!媚びぬ!省みぬ!というどっかの聖帝の悪い所を真似する癖があるからな」
モンティナ「止めはしないが一つだけ忠告してやる。そいつの真似だけはやめとけ

 

そして当日は天気予報のとおり朝から雨が降っている。そして気温も低い。

マックス「寒いし、雨だし、滑るし、肺が痛いし・・・いや走るけれども」

 そろそろエンデューロのスタート時間のため、スタートラインに並んだのだが・・・どうも他の選手のバイク、装備が変だ。ディスクホイールDHバーエアロヘルメットを装備しているじゃあないか?

 どうやら他のカテゴリーの競技時間が遅くなったため、エンデューロのスタート時間が遅れているのだった。

マックス「危うくチームTTに単独参加してしまうところだったじゃあないか・・・危なかったわ」

 

そして今度こそエンデューロのスタート時間である。

 競技時間が当初2時間の予定だったのが1時間30分に短縮されることになりました。

というわけで非常に冷たい雨の中レーススタート!

コースの彼方此方にある水溜りの泥水を浴びながらメイン集団についていくが、ところどころにアスファルトの盛り上がっている部分があり、その段差を乗り越えた衝撃で右肩と肺が痛む。ハンドルから力を抜きたいけれど、抜くとバランスを崩す危険があるのでどうにもこうにもならない。

マックス「クソ!なんてこったい!」

前走者の巻き上げる真っ黒な泥水を顔面で受け止めつつなんとかホームストレートへと帰って来る。

 ケイデンスを上げてメイン集団後方についているが、早くも息が上がってくる。そして大きく呼吸すると・・・

マックス「イタタッ・・・肺が・・・」

深呼吸によって肺が拡張されると、ヒビの入った肋骨に接触して鈍い痛みがやってくる。

マックス「もうどうしろってのよ・・・」

グダグダ考えている間にメイン集団から千切れてしまうマックス。

マックス「し、しまった!」

すぐさま全開走行で最後尾に追いつくが・・・今の状態でメイン集団に1時間30分ついていくのは無理だと気付く。

というわけで、メイン集団を見送ってペースダウンして呼吸を整えて粛々と個人タイムトライアルモードに切り替える。

 1周回程度単独で走っていると、同じくメイン集団から千切れた選手が視界に入ってきた。

マックス「誰かと共闘できれば少しは楽になれるな」

マックスの脳裏には去年の九チャレで共闘したトムとジェリーの顏が思い浮かぶのだった。3両編成のトレインでメイン集団を追いかけまくったのだ。平坦が得意なトムが自分を犠牲にして激坂直前まで引っ張ってくれて、私を発射してくれたのだ。残念ながらメイン集団には追いつくことはできずにDNFとなったのだが、レース終了後にトムとジェリーとはガッチリと握手したのであった。トムとジェリーと一緒に走ることができたのは、私にとってとても幸運であり有意義なレースとなったのだ。

マックス「トムとジェリー・・・懐かしいな。あいつら元気にやってるかな」

そう思っていると、後ろから3両編成のトレインがやってきました。共闘しているのかどうかは不明ですが・・・とりあえず後ろに付いてみることにします。

 黄色ジャージの選手ロック(仮名)がしばらく先頭を牽いていますが2番手が交代する様子がありません。向かい風区間でロックがペースダウンしています。

 このまま常に誰かのドラフティングでチョロチョロ走ってゴールする・・・わけないだろ!俺はマックス!天国還りのマッドマックス!退かぬ!媚びぬ!省みぬ!

というわけで、最後尾の私が上がって交代を申し出ます。

マックス「牽きますよ!

ロック「ありがとうございます!」

こうしてマックス&ロックでしばらくローテーションしていたのですが、あるとき青いジャージの選手ビル(仮名)が上がってきました。

ビル「交代します!」

ロック「助かります」

マックス「ありがとうございます!」

こうしてマックス、ロック、ビルの3両編成で走ることになりました。

 途中、雨が強まり雨粒で視界が塞がれるような場面もありましたが、とにかく3人でローテーションして走ります。

 ところが、メイン集団が接近してきたため、ラインを譲ろうとコースの端に退避したときに、ビルと離れ離れになりました。どうやらメイン集団について行ったようです。

マックス「おお、ついていく気か?頑張れよビル!」

というわけで再びロックとマックスの2人で走ることになりました。しかし、しばらくすると・・・ビルらしき人物が見えて記しました。

ビル「先頭集団早すぎ!無理でした

マックス「お帰りビル!(笑)

というわけでマックス、ロック、ビルの3人で走っていたのですが、今度はロックが脚を使い果たしてしまし千切れて行ってしまったのです。

 再びマックス、ビルの2人で走ることになります。

ビル「残り時間30分ですよ!」

マックス「あはは、まだ30分あるのか・・・」

ローテーションしながら周回を重ねるビルとマックス。冷たい雨に晒され続け、さらに右腕を庇うために左腕に加重していたため、左腕の感覚が無くなりつつある。

ビル「あと20分!1時間30分に短縮されて良かったですね!」

マックス「全くですね。このコンディションで2時間は厳しい」

このころになると、左手の握力が弱くなり、リアブレーキを握るのが難儀になっていました。フロントブレーキ側である右の握力まで弱まるとリタイヤするしかありません。

マックス「残り15分・・・ビル!俺はここまでだ。先に行ってくれ!

ビル「え・・・もう少しでゴールだよ?もう少し行けないか?」

マックス「ありがとう!俺の体力は限界なんだ!先に行ってくれ!頑張れよ!」

ビル「わかった・・・ありがとう!」

片手を挙げて徐々に遠ざかっていくビル。それを見送るマッドマックス。

マックス「フフ、どっかで見た光景だなぁ・・・ありがとうよ、トム」

そして15分後・・・なんとかゴールすることができた。

緊張の糸が切れたのが、体中の震えが止まらなくなった。

 濡れたグローブを脱ぐことすらままならないほど、全身が震え、両手が麻痺して動かない。こんな症状は初めて経験する。間違いなく低体温症にかかっている。なんとかクルマまで戻るが、手が震えてバックポケットのキーを取り出すことが出来ない。というわけでポケットに入れたままボタンを押してクルマの中に入ることに成功した。

 風雨から退避して暫くすると、ようやくバックポケットからキーを取り出すことができた。直ぐにエンジンを始動させてエアコンで車内をガンガン暖める。

 それでも中々震えが止まらない。というわけで、持ってきておいたパワーバーやカロリーメイトをバリバリ食べてなんとか体温の上昇を試みる。

 車内の温度が上がり、食べ物を胃に入れることでようやく落ち着いてきた。バックミラーを見ると顔が真っ赤になっており、なんだか熱っぽい。

 というわけでレース後にチームメートと合流する予定を取り止めて、速やかに撤収することにした。

 

 なんとか無事に帰宅したが・・・今回はきわどいレースとなった。

 冬の雨の中を高速巡航することによる体温低下を甘く見ていた。ウィンドブレーカーを着用していればここまで酷い低体温症にはならなかったであろう。そしてこのレースは片腕を庇って走るにはハードすぎる。

マックス「レース後にビルとロックにお礼を言いそびれたな。それに寒い中応援してくれたブルベン、ウォルター、デイジー、レッドフォックス、スプリンガー、シューマッハにも」

 

ということで、この場でお礼申し上げます!

皆さんありがとうございました!