アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

最終章「The goal of all life is death.」#05 【九州チャレンジサイクルロードレース】

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マックス「・・・緊張のせいかな・・・またトイレへ行きたくなってきた・・・」

スタート前のプレッシャーに押しつぶされそうになりながら1人トイレへと駆け出すマッドマックス。

ここは九州は熊本県五木村である。因みにヒロシとは無関係だ。

風の谷か?と思わせる谷を中心としたのどかな風景が広がっている。

中心部にはバンジージャンプ用の施設まで備えているまさに谷の街だ。

トイレから出たところで後ろから声を掛けられた。

〇〇「こんにちは、マックス」

後ろを振り返るとそこには山口県最強の自転車競技チーム「EXPERT STARS(妄想)」のメンバーであり、山口県屈指の選手クワトロ(仮名)であった。

マックス「おお!?こんにちは!クワトロ、今日の調子はどう?」

クワトロ「あはは、ダメですねぇ。今回は他の2人に任せてますよ。峠は苦手なのでね(笑)」

マックス「他の2人は確か・・・ロベルトアポリーだったかな?」

クワトロ「そうそう、あの2人に期待してます!」

マックス「よーし、それなら山口県勢で頑張ろう!」

EXPERT STARSは、山口県に知らぬものが居ない程の強豪チームであり、チームジャージは山口県名物のガードレールと同色系の夏みかんである。今回の九州チャレンジサイクルロードレースの競技者登録マスターズクラスでは、山口県勢は私を含めて4名がエントリーしている。同郷のチームジャージの選手が居ると何となく安心感が出てくる。

 というわけで、身の程知らずにもスタートラインの最前列に並ぶマックス。このクラスには70名以上の選手が出場しているのだが、恐ろしいことに私以外にド素人は一人も存在せず私以外は全員が百戦錬磨の猛者ばかりなのだ。

マックス「今度こそ・・・生きて帰ることはできないだろうな。マッドマックスブログもこれで最終回になるのか・・・」

そしていつものように、この世への別離の言葉を呟きつづけるマッドマックス。

マックス(サヨナラ・・・みんな・・・ありがとう・・・)

 

そんでもってスタート!

 

マックス「どーせド素人は俺一人だ!ド素人のド根性魅せてやんよ!!!」

 

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というわけで、スタートダッシュを決めて先頭に躍り出るマッドマックス。

 実のところウォーミングアップを全くしていなかったため、早めに体を暖めておく必要があったので、得意のハイケイデンス走法でトップスピードまで加速していっただけだったりするのだ。第一コーナーを曲がって橋を渡るが、後ろに気配が・・・・ない。

マックス「あれ?誰も追走してこない・・・アウトオブガンチュー(眼中に無い)か?」

 そもそもクリテリウムじゃあないんだからいきなりスタートダッシュするわけないのだが・・・・誰ものってこない現状に微妙にテンションが下がってペダルを緩め、橋の中央部で集団を待つマッドマックス。

 さすがに、マックスの暖気運転に付き合うほど酔狂な選手は一人もいなかったのである。

 というわけで、集団に吸収されてポジション争いに参加する。長い下りをハイスピードで駆け下りていく70人の集団は、まさにおもちゃ箱をひっくり返したようなカオス状況となっている。両サイドから超高速列車が集団前方に突撃していっては先頭でドンパチやらかしており、集団中央がジリジリと下がってきて後ろで脚を休めて再び先頭へ出る機会を虎視眈々と狙っている等々、常に戦況は変化し続ける。

そんな中、EXPERT STARSのロベルト、アポリー、クワトロも一進一退の攻防を繰り広げている。

 特にロベルトはレース序盤から積極的に動いている。集団の右から、左から、果敢にアタックを仕掛けてレースの流れを作っている。

 というわけで、止せばいいのに身の程知らずの私もロベルトのアタックについて行って先頭に躍り出ることに成功!

 先頭は空気抵抗がキツイのだが、前走者が落車したら?という事態を考慮する必要がなく、またラインを自由に選べるため精神的に楽なのだ。

 しかし、折り返し地点である直角コーナーが近づくとポジション争いが激化する。全選手がコーナーのアウト側によっていく。コーナリングの基本であるアウトインアウトで細い橋を抜ける為だが・・・そこは70人の集団であり、イン側にも選手は突っ込んでいくことになる。

 ほんの少しのミスで集団落車になるギリギリの攻防でコーナーに突っ込んでいき、橋の出口へと向かって行く。

 橋を渡り切ると再び直角コーナーがまっているのだが、この時点で集団は縦に長くなっている。

マックス「来るぞ・・・絶対にここで来る!!

来る~きっと来る~♫ という幻聴が聞こえてきそうなほどに・・・。

案の定、コーナーの立ち上がりでゴールスプリント並みの狂ったような加速競争が始まった!

 ここでほんの少しでも差が開くと千切れてレース終了になってしまうので皆必死だ。

マックスも愛機「古賀ちゃん」のペダルを親の仇のように踏みまくって加速するが、それでも先頭は更に加速していくので、今度は下ハンダンシングで追いかける。因みに先週の西日本チャレンジで使ったルイちゃん魔改造専門店モンティナで修理中だ。

マックス「ゼェゼェ~ハァ~ハァ~・・・誰だ?・・・・こんな嫌がらせをしやがるドSは・・・・」

因みに、コーナーからのフル加速では、集団の後方になるほど加速する時間が長くなってしまうので非常に苦しいのである。ドラフティングとのトレードオフというところかな。

そこから徐々に道幅が狭まっていきトンネルへ突入する。

 ここで選手同士の肩がぶつかり合ったり、彼方此方で怒声が響く。暗くて狭いトンネルに猛スピードで突撃していく集団は、全員殺気立っておりポジション争いは過酷を極めている。

 因みに、この超狭いトンネルの中で自分の前の選手が落車したら絶対に回避不能である。

そんな時は・・・素直に諦めてハンドルを強く握って落下に備えようね♡♡♡

トンネルを抜けるとバンジージャンプの橋が現れる。そこで再び集団は長く伸びていき、橋を渡り切ったところで直角コーナーを曲がるとホームストレートに入る。

ここで再びゴールスプリント並みの加速競争が起きる。

マックス(だああああ!いい加減にしろや!!こっちは肩が壊れているんじゃあぁあああ!ちったぁ手加減しろ!!!)

と叫びたいのを我慢してついていく。

 その後、強い向かい風で集団のペースが落ち着いてきたのでバックポケットのパワーバーをムシャムシャ食べてから、ボトルのアクエリをゴキュゴキュ飲んで一息つくマッドマックス。

 そして再び折り返しの橋へと突入する。

集団が縦に長く伸びており、橋を渡ってからの加速競争に全員が備える。

すると・・・先頭集団は最初だけ加速して直ぐにスローダウンしてきた!!

マックス「んん!?しまった!今度はフェイントか!!!チィ!!

集団後方の選手はダンシングでフル加速していたのだが、前方がふさがって全員フルブレーキすることに!

キュキュキューー!!!シュルシュルシュルーーーーー!!!

辺り一面にホイールのブレーキ面のカーボンが焦げる臭いが漂う。本当に火事では?と思えるほど焦げ臭いのだ。因みにマックスの古賀ちゃんのホイールはアルミです(笑)

幸い落車する選手はいなかったが、多くの選手が無駄に脚を使ってしまったようだ。もちろんマックスも・・・トホホ、やられた。

その後、トンネルに入る直前のポジション争いであわやの集団落車が起こる寸前までいったのですが、なんとか無事にホームストレートへと戻っていくメイン集団。これで3周回が終了。

このとき私は山口県勢であるESのクワトロと一緒に集団内で走っていた。因みに、ロベルトとアポリーは能動的に集団内を彼方此方彷徨っている。

そして、第一コーナーで事件は起こった!

私とクワトロの前の選手が落車したのだ。

「落車!!!」

コースの彼方此方で悲鳴のような叫びが響く。