最終章「The goal of all life is death.」#10 【オール九州3時間耐久ロードレースINオートポリス】
マックス「ここは九州だ」
スカーフェイス「んなこたーわかってる。いったい誰に説明しているんだ?」
マックス「いや、これには大人の事情があってだな・・・」
モンティナ「そういや、先週も阿蘇山に行ったんだよな?」
マックス「え・・・まあそうなんだけどね。ここだけの話、行って帰るだけで、満タンにしたはずのガソリンが空になるのが辛いわ・・・マジで」
スカーフェイス「それに宿泊・高速代もかかってるぞ」
モンティナ「最近湯水の如く金を使いまくってるしな」
マックス「・・・・・」
オール九州3時間耐久ロードレースINオートポリスに参加するために前泊して会場に乗り込んだのだが・・・天気予報のとおり既に雨が降り出している。おまけに非常に風が強い。
マックス「やはり降ってるな」
モンティナ「ああ」
マックス「この中を走るんだな」
モンティナ「ああ」
マックス「3時間、雨に濡れながら走り続けるんだな」
モンティナ「ああ」
マックス「モンティナ、代わりに走ってみたくないか?」
モンティナ「疲れるからいやだ」
マックス「スカーフェイス、お前は走りたいだろ?」
スカーフェイス「腹が減るからいやだ」
ここまできて棄権して帰るわけにもいかないため、とりあえず受付を済ませてから試走する。このコースはサーキットなのだが・・・山の頂上付近に建設されているため一般的なサーキットとは思えないほどの高低差があるのだ。極端に言えば、ホームストレート以外はダウンヒルかヒルクライムしか存在しない。
おまけに今日は雨が降っておりウェットコンディションである。
上りはともかく、下りは非常に危険だ。
マックス「俺は雨に弱いというジンクスがあるんだよな・・・いままでろくな目にあってないしさ・・・」
要するに、雨の日はビビリミッターが作動して限界までコーナーを攻めることができない腰抜けなのだ、マッドマックスは・・・。
試走が終わる頃には雨は更に強くなっている。そしていよいよスタートラインに集合することに。
マックス「さ、寒い!凍える!もう嫌だ!帰りたい!」
スカーフェイス「我が儘言ってんじゃねーよ。とにかく根性で3時間走ってこい。俺とモンティナはピットで温かいカップラーメンでも食いながら、ホームストレートにお前がきたら適当に応援してやるからな」
モンティナ「気を付けろよマックス。去年のレースでもファーストラップで落車があって、いきなり救急車が入ってきたからな」
マックス「嫌な事言うなよ・・・これ以上落車して腕を摩り下ろされたら、俺の両腕は無くなってしまうじゃないか」
スカーフェイス「いいんだよ、お前の腕の一本や二本無くなっても」
マックス「ここだけの話なんだが・・・俺、このレースが終わったら・・・結婚するんだ」
スカーフェイス「ブブゥゥアァァァ!!!鼻からMAXコーヒー吹いたじゃねーか!勿体ないだろこの野郎!!!弁償しろ!」
モンティナ「ああ、そうですか。そうですか。それは良かったですね。1人でどうやって結婚するのかな?それと細かいこと言うようだが、お前は×1なんだから結婚じゃなくて、再婚だろ」
マックス「サイコン・・・サイクルコンピューターじゃないよな・・・まあ、細かいことはほっとけ」
モンティナ「まあ冗談は置いておくとしてだ。それはわかりやすい死亡フラグというやつで、もう生きて帰ってこないと受け取っていいんだな?」
マックス「ああ、これでサヨナラだ」
んでもってスタート。
スタートする前からずぶ濡れになっており、ガクガクブルブル震えていたマックスであったがスタートすると・・・。
マックス「・・・なんじゃこりゃあ!!風を受けるからもっと寒いじゃないか!責任者出てこい!」
ホームストレートをすっ飛ばして行く選手についてケイデンスを上げていく。
第一コーナーを右に曲がると下り区間が始まる。
コーナーの手前で各選手が減速するため、選手が道幅一杯に広がって団子状態になる。そしてその団子のまま下りへ突入すると・・・狂ったように加速していく!!
マックス「お前らどんだけ加速する気だ・・・・」
長いストレートが終わるとS字コーナーに突入。因みに、このS字が終わったら、直ぐにRの異なるS字がやってくる。さすがはサーキット、公道ではありえないコースだ。
このS字が最も危険だろう。
タイトコーナーなうえ、路面が濡れており、雨で視界がわるく、おまけに霧も出ている。
マックス「落車しませんように!!アーメン!」
お祈りしてS字に突入しようとするマックスの10メートル前方で落車が起こる。
コースの彼方此方から「落車!!」の絶叫があがる。
幸いなことにマックスはコーナーのイン側に飛び込んだため無事にクリアできたのだが・・・。
落車した選手がアウト側に滑っていく・・・。
マックスの後方から再び悲鳴と何かが壊れる音が響く
マックス「誰かは知らんが・・・イキロよ」
ここで先頭集団はダンシングで加速していく。
マックス「あんなのについて行ったら直ぐに脚が壊れてしまう・・・」
ということで程々ののペースで坂を上ることに。
ホームストレートを走り抜けると、そこには。
スカーフェイス「お?マックスだ。生きてたか?お前が落車したかと思ってたんだがな」
マックス「そりゃ残念でした!」
モンティナ「頑張れよマックス!・・・しかし、ファーストラップでまたもや救急車が出動するとはな・・・このレースは案外ヤバイな」
マックス「・・・もう勘弁してくれ」
2周目に突入すると・・・さっきのS字コーナーのグラベルには既に救急車が止まっていた。落車した選手を速やかに回収して病院へ運んでくれる素晴らしいサービスである。
マックス「これなら安心して落車できるな~・・・・んなわけねーだろ!!」
実のところ、その後も別の場所で救急車が出動するシーンがあったのですが・・・。
時間が経過すると、雨は益々強くなり、風も益々ひどくなり、体温は下がり、目や口には前走者が巻き上げた泥が入りで、コンディションはさらに悪化していきました。
1時間経過。
ここまでは順調にラップを重ねていたのですが、ここでアクシデントが発生。
上り坂を終えて、ホームストレートに入るところで・・・フロントのシフトアップができない!
マックス「・・・う!?シフトチェンジできない?メカトラブルか?モンティナにメンテしてもらったのに!?」
メカトラブルを疑ったのですが直ぐに否定されました。
マックス「・・・違う・・・左手の握力が無くなっている」
大雨と強風によって体温が低下しているのだが、その中でも身体の末端の方がより冷たくなってしまい手の感覚が麻痺していたのだった。
フロントのシフトチェンジができないままホームストレートに帰って来る
マックス「左手の握力がなくなってフロントのシフトチェンジができない!」
スカーフェイス「それなら右手を使え!左手でハンドルを固定して右でチェンジしろ!」
スカーフェイスのアドバイスのとおり、右手で無理やりシフトチェンジするマックス。
マックス「よし!できた!・・・しかし・・・いつまでもつか・・・」
ボロ雑巾になりながらもさらに周回を重ねていく。
そんなとき、ホームストレートのピット側から声を掛けられた。
謎の人物「マッドマックス、がんばれ!」
その方向を見ると見覚えのある人物の姿が見えた・・・ような気がした。
マックス「!?い、今のは・・・・確かに・・・」
いや、そんなはずはない。アイツがここに居る訳がない。第一、俺が参加していることなんて知らないんだぞ?偶然か・・・・?
マックス「次のラップで真相を明らかにしてやる」
そしてさっきの地点へとやってくるのだが・・・
マックス「・・・・居ない。やはり気のせいか。フッ、どうかしてるぜ・・・」
そんなこんなで左手の握力が無いまま3時間走り切ってゴール。
スカーフェイス「何だ、無事じゃないか。」
マックス「・・・・悪かったな、無事で」
モンティナ「左手は大丈夫か?」
マックス「いやもう限界だった。左腕全体が麻痺して感覚が無くなっている。」
モンティナ「よく生きて帰ってきたもんだ」
マックス「もうゴメンだがな・・・二度と」
そして表彰式へ
マックス「さてと、ODKジャージをキチンと着て・・・ネクタイを締めて・・・」
モンティナ「いや、ネクタイなんてないから」
強風が吹き荒れる大雨の中でも屋外で表彰式を行います。
皆さんガクガクブルブル震えていました(笑)
オンロードのレースでODKジャージを表彰台の真ん中に乗せるのは何年ぶりだったかな?
たしか大分チャレンジサイクルロードレース以来だったような気がする。
久しぶりにに勝てたので雄叫びをあげるマッドマックス!
写真撮影タイムの最後の最後でマッドマックスのネタが炸裂!
この時のために仕込んでおきましたよ!
ODKジャージの下から現れたのは・・・マッドマックスTシャツ!
今回のレースで勝つ目的の99.99%はコレをやりたかったためなのです!
写真撮影をお願いした人が「マッドマックス!(笑)メル・ギブソンか!」と爆笑していましたよ!
賞状とメダル以外にも沢山の景品を
モンティナ「そういえば、お前このレースが終わったら結婚するとか、なんとか言ってたな?」
マックス「・・・・え?俺、そんなこと言ったかな?」
スカーフェイス「おお!言ってた!言ってた!死亡フラグになると思ってたのに、コイツ生きて帰ってきやがったぞ?」
マックス「・・・俺が生きて帰ってきて残念そうだな?スカーフェイスよ」
モンティナ「で、いつするんだ?再婚」
マックス「いや、アレは単なる戯言だ。ちょっと太陽が眩しかったからつい・・・な。」
モンティナ「今日は朝から分厚い雨雲に覆われていて太陽は思いっきり隠れているけどな」
マックス「あ・・・そうだった!大切なことを聞いていなかった!」
モンティナ「何だよ、急に」
マックス「ピットから応援されたんだ・・・アイツに・・・J.Lanfordに・・・」