アイツが天国から還ってきた 夢幻のマッドマックス Millennium編

The goal of all life is death. 凄惨な事故による心肺停止状態から仮初めの命を与えられ、アイツが天国から還ってきた。アイツは夢か幻か?だがアイツは残り少ない時間を自ら削って死に急ぐ。これはアイツの命が燃え尽きて灰になるまでの記録である。この命の終焉の刻まであと僅か・・・全ては時の中に・・・

One step forward

△年〇月✖日 天気は微妙

 

広島県サイクルロードレースに参加してきました。

早朝・・・というか午前3時30分に出発。

マックス「何やってんだろ・・・

と、いつものようにボヤキながら高速を走り続けること約3時間

はっきり言って、もうこの時点でグダグダです。

疲れています。

マックス「はあ、運転疲れたわ。もう帰ってもいいよね?」

おい、今北産業・・・じゃあなくて、今来たばかりだろ。

わりと真面目に眠いし、疲れています。

が、それはそれ。

やりたいことと、やらなければならないことの分別は付きます。

マックス「やれやれ、とりあえず受付も済ませたことだし、試走に行くか」

というわけで、超スローモードで試走してきます。

超スローなんですが、コースがコースなだけに疲れます。

上り区間ではもう勘弁というくらい疲れました。

マックス「試走で疲労困憊って何やってんだろ・・・俺」

何だか朝から調子が悪いです。

日頃の疲れが取れないのか、怠さが抜けない感じがします。

レーススタート前に超弱気になるマックス。

マックス「体調不良ってことで棄権しちゃおうかな・・・」

始まる前から精神が終わっているマックス。

 

 

マックス「やっぱりダメだ・・・完走できる気が全くしない・・・」

もう走るのを止めて逃げ出そう。

そう思ってふと空を見上げる。

そこには静かに微笑むアイツの姿が見える。

カイン「後ろを振り返らず、ただひたすらに進め・・・まっすぐに・・・前へ」

その顔からは明らかに険が消えている。

マックス「・・・カイン」

 

 

マスドスタートでレース開始。

クリートキャッチも一発で決まって集団前方に躍り出るマックス。

マックス「もうクヨクヨするのはやめだ!やめ!」

何故かわからないが突然吹っ切れたマックス。

良い感じにが壊れたようだ。

多分、根が単細胞だからだろう。

選手が犇めき合う下りコーナーを臆することなく、ペダルをフル回転させて攻めまくるマッドマックス。

落車が怖くないのか?と思うほどキレキレのラインでコーナーを攻める。

マックス「こちとら既に一回死んでるんだ!伊達に天国は見てねぇぜ!!」

言葉の意味はよくわからんがとにかく凄い自信だ。

ポジション争いは熾烈を極め、もう戦争状態である!

イン・アウトからガンガン被せてくる選手達!

いつものマックスなら怖気づいて退いてしまうのだが・・・

 

 

カイン「One step forward(一歩前へ)」

カインが俺に残してくれた最期の言葉。

この言葉にいつも勇気と力をもらう。

ランニングでもバイクでも、苦しくなった時には空を見上げる。

苦しくなって諦めそうになる時

脚が止まりそうになる時

そんな時、カインが俺に一歩前へ踏み出す勇気と力を与えてくれる。

 

 

マックス「まっすぐに・・・前へ・・・一歩前へ!!

One step forward

今日のマックスは一歩も退かない!

死んでも一歩たりとも後退したりしない!

1つでもポジションを上げるために果敢に勝負を挑むマックス。

マックス「退いてたまるか!お前らが退け!!

 何かよくわからんが、マックスが久々にプッツんしてしまったようだ。

そうこうしているうちに下り区間が終わり、上り区間が始まる。

マックス「来たか・・・ついに来たか!!三段坂!!

ここからが根性の見せ所である。

幸い下りで攻めたので集団前方に出ることに成功したのだ。

マックス「よし、このポジションならこのままのペースで千切れることはないはず」

ヴァジュラの助言どおり、短い上り坂はダンシングで突破していく。

そして無事に12%の坂も突破することに成功。

この調子で行けると思っていたマックスだが、それは下り区間で起こった。

マックス「ん?」

コーナーリング中に何か得体のしれない違和感を覚える。

マックス「なんだ?今の感覚は?」

次のコーナーに突入するマックスとニールプライド。

マックス「!?リアタイヤグニャグニャ変形したぞ!?」

パンクしたと即座に判断して危険回避に努める。

マックス「パンク!

と、周囲の選手に知らせてから路肩に停車する。

リアタイヤを見ると一応空気は入っているように見える。

しかし触ってみると明らかに空気が抜けている。

マックス「あれ?なんだこのパンクは?空気が抜け切れていない・・・スローパンクか?」

スローパンクはゆっくりとだが確実に空気が抜けていく現象である。

マックス「・・・ふう・・・運が悪いとこんなものか・・・」

後ろからやってきた回収車に回収されてピットに戻るマックス。

その後、ピットでタイヤ・チューブを確認してみる。

マックス「あれ?チューブには穴が開いていないぞ?ということは・・・バルブからジワジワと空気が漏れてるってことか!?」

古くなったチューブは交換しましょう!というのが今日の教訓のようです。

 

というわけで本日のレースはリタイヤという結末でした。

パンクしてガードレールに激突し、そのまま崖から転落して死亡・・・・という落ちでなくて良かったと思いたいところです。

  

 会場を去る時、独り空を見上げて呟く。

 マックス「ありがとう・・・カイン」